この記事を書いている平成30年は、今上天皇陛下(在位中の天皇陛下)が来年の4月30日で譲位されることが決まっている、平成最後の年です!
昭和から平成に年号が変わるときは、当時の小渕官房長官が「平成」という新年号を発表している映像を見て、子供ながら何かが変わったんだな〜という雰囲気はわかりましたね。
日本では一大イベントの年号の更新ですが、新しい年号がどのように決まっているか、あなたはご存知でしょうか?これから数十年使われる大切な年号ですので、その候補を誰がどうやって選んでいるのか、気になりますよね。
ということで今回は、新しい年号の決め方から、現代まで続く日本の年号のルーツまで、わかりやすく解説します(^ ^)
新年号の決め方は?
年号をどうやって決めるかに関しては、日本では昭和54年に制定された「元号法」で定められています。
どういう風に定められているかというと、こんな感じです。
元号法
1 元号は、政令で定める。
2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。引用元:衆議院HP
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=354AC0000000043
(年号と元号の違いについては後ほど解説しますね)
元号法一条の「政令」というのは、内閣が制定する命令のことです。つまり元号は法律上、政府が決める事になっているんですね!
ただし、政府が決めると言っても内閣総理大臣が勝手に決めるかというと、そんなことはないわけです(^^;それでは、実際に年号が決定する具体的なプロセスをご紹介します!
新年号が決まる具体的な流れ
新しい年号が最終的に決定するまでには、意外と長い道のりがあります。
以下が年号「平成」が生まれた時の流れです(^ ^)
- 内閣総理大臣が有識者数名に候補作成を委任
- 有識者が2~5個程度の候補をあげる
- それらの候補について内閣官房長官が、内閣法制局長官の意見を聞きく
- 元号に関する懇談会(元号懇)に意見を求める
- 内閣総理大臣が全閣僚会議で意見を求める
- 内閣総理大臣は衆議院と参議院の議長、副議長に意見を聞く
- 閣議で元号を定める政令を決定
1で出てくる有識者というのは、中国の古典や漢文の専門家などです。この有識者でまずは年号のたたき台を作ります。
そのたたき台として選ばれた候補に対して3、4、5、6でいろんな人の意見を聞き、最終的に元号を閣議決定します!
平成の場合は、天皇陛下の譲位にともなって年号が変更されるので、コソコソ進める必要はないのですが、本来年号は陛下が崩御され、新しい天皇陛下が誕生する際に変わるものなので、公にはしないで水面下で準備をしておくものなのです。(さすがに不謹慎ですよね(^^;)
誰か一人が決めるのではなく、みんなで決めていく形が、いかにも日本ぽいですよね!
年号の条件とは?
先ほど有識者なる人たちが、年号の候補を作成するという話をしましたね。この方達が選んだ候補から年号が選ばれるのですから、非常に重要な仕事という事になります!
ではこの有識者の方々は、自分たちが好きな言葉を自由に年号にすることが出来るのかというと、もちろん答えはNOです!
実は年号にはある一定の条件があって、その条件に当てはまる形で候補を作らなければならないんです。
その年号の条件がこちらです。
- 国民の理想としてふさわしいようなよい意味を持つものであること。
- 漢字2字であること(3文字以上は不可。但し、749年から770年にかけては、漢字4文字の元号が使用されている)。
- 書きやすいこと。
- 読みやすいこと。
- これまでに元号又はおくり名として用いられたものでないこと(過去の元号の再使用は不可)。
- 俗用されているものでないこと(人名・地名・商品名・企業名等は不可)。
引用元:Wikipedia
これに加えて、直近の年号である明治(M)、大正(T)、昭和(S)、平成(H)の各イニシャルが同じにならないような配慮もするみたいです(^ ^)
一見難しそうに見えますが、過去に候補としてあがったのに、採用されなかった元号の中から選ばれることも多いようですので、過去のこういった情報を調べて予測してみるのも楽しいかもしれませんね!
年号=元号なの?
さて、ここで年号と元号の違いについて少し解説していきますね!
結論から言うと、年号も元号もほとんど同じと考えて大丈夫です(^ ^)有名な国語辞典でも、同一のものとして紹介されています。例えば元号を各辞書で調べると、
年に付ける呼び名。(中略)年号。
引用元:大辞林第三版
「年号」に同じ
引用元:デジタル大辞林
年号ともいう。(後略)
引用元:ブリタニカ国際大百科事典
このように、ほとんどの辞書で、年号と元号は同一のものとして説明されています。
中には、年号を年の前につける呼び名、元号をその年数(つまり、「平成」←(年号)「30年」←(元号))という説もありますが、基本的には年号=元号と考えて問題ないでしょう!
そもそも、年号とは?
これまで年号の決め方やルールについて解説してきましたが、読んでいるうちに
「そもそも年号って何者なの?」
という疑問が湧いてきたかもしれませんね(^ ^)
一部の人からは、元号廃止論なる意見もあるようですし、日本人として、年号とは何かを簡単にでも理解しておくことは大切なことだと思います!ということで、簡単ではありますが年号そのものについてサクッと解説していきます!
年号の起源
年号は、かつての中国にあった漢という王朝の武帝という7代皇帝がつけた「建元」が最初だと言われています。これが紀元前1〜2世紀頃のことで、それから「王が即位した年に新しい年号がつけられる」という慣習になりました。
その慣習が徐々に周辺諸国に伝わっていき、日本では孝徳天皇が即位してすぐの645年の「大化」が初めての年号だと言われています。
中大兄皇子と中臣鎌足が蘇我入鹿を含む蘇我氏を滅亡させた「乙巳の変」、そして中大兄皇子(のちの天智天皇)によって行われた「大化の改新」で有名な「大化」です。覚えていますか(^ ^)?
それ以後年号は、天皇が即位したり、飢饉や天災が起きたりした際に改められて、今に至ります。
ちなみに、現在では天皇の即位以外のタイミングで年号を変えることはできません(^ ^)(元号法第二条より)
日本にとって年号は1500年近くの歴史がある、れっきとした伝統文化なんですね!
年号を使っているのは日本だけ?
「年の数え方」は地域の風習や文化、宗教の違いで様々な使われ方をしています。
一番有名なのは西暦でイエスキリストの生まれた次の年を元年とした数え方ですね。
他にもイスラム暦は預言者ムハンマドがメッカからメディナへ移った年を紀元にしていますし、台湾では中華民国が建国された年(西暦1912年)を中華民国暦元年としたり、様々です!
しかし、国家元首が代替わりするたびに新たに年を数える「年号」を採用している国は、現在では日本だけです。
元号発祥と言われる中華でも取りやめになっているんですから、今となっては非常に貴重な日本独自文化と言えるのではないでしょうか(^ ^)
年号は、誰か一人が決めるものではなく、政府がいろんな人に相談しながら決めているんですね!
年号の継続に関しては賛否両論あるかとは思いますが、私は日本の大切な文化の一つだと思うので、今後も続けていってほしいと思いますね(^ ^)
(ただし、書類を記入する際は西暦と年号が混在していてわかりにくいので、どちらかに統一してほしいとは思いますが(^^;)
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